はじめに

家庭用の家具、陶器製の食器やオブジェ、フレグランス、そして本のクリエイターであるイヴァン・ペリコリとブノワ・アスティエ・ド・ヴィラットは、アスティエ・ド・ヴィラット一族の兄弟姉妹、およびボザール美術学校の友人たちと共に、1996年に会社を 設立しました。食器に関する知識を一切持たずして、小さな会社を始動させたのです。創作するのは「夢に描いたオブジェ」。あるいはリサイクルショップのエマウス、ヴァンヴの蚤の市、古道具屋で見つけた掘り出し物や夜の道端で収集したさまざまな廃品からインスピレーションを得た家具。さらに遊び心を効かせて、ボザール美術学校で学んだ彫刻技術にひねりを加えながら、インテリアや食卓に彩りを添える日用品や陶器製の食器を創り出しています。こうして誕生するのが、革新的で夢心地にさせる作品たちです。立ち上げ当初、コレクションの制作はアレクサンドル、ブノワ、マチルダ、ジャン=バティストの両親宅で、次いで1996年には既に本拠地としていた、ドメニル通りの地下のアトリエで行われました。次々とアイデアが湧き出し、時に才能が 激しくぶつかり合うこともありましたが、冒険に満ちた活動は発展し続けました。

1996年9月開催の『メゾン・エ・オブジェ』に初出展。熱狂的な盛況を収め、世界中から注文が殺到。アスティエ・ド・ヴィラットは、パリらしさを極めた数軒の販売拠点、およびアトリエでの製品販売を開始しました。

その後次第に当初のメンバーが離脱したため、二人だけで会社の行く末を担うことになったイヴァン・ペリコリとブノワ・アスティエ・ド・ヴィラットは、広告の力を一切借りることなく、口コミによって今日の名声を築き上げたのです。

2000年、二人はついに念願のパレ・ロイヤルと装飾美術館にほど近い、サントノレ通りに面した店舗を見つけます。それと同時に、増え続ける注文量に対応しきれなくなっていたドメニル通りを離れ、マセナ大通りに移転しました。パリの中心部に位置する巨大な製造工房には、自然光が注ぎ込みます。パリ中心部やブティックから離れることは、選択肢にありませんでした。家具のクリエイターであるアレクサンドルの指揮のもと、アトリエの職人たちが世界中のバイヤーからの注文に応えています。その後新たに、親友でもある2名のチームメンバー、スタイリストでデザイナーのエミリー・マゾーとウェブマスターのウィリアム・サイモンが加わり、独特なスタイルの世界観を反映したウェブサイトを完成させました。

2008年、ユーモアを込めて、冗談半分に店頭発売した香る食器用洗剤が大ヒット製品となり、フレグランスの魔法の世界への扉が開かれました。チームメンバーのエミリーは、日本のフレグランスメーカーである高砂のスター調香師、フランソワーズ・キャロンの協力を得て、オーデコロン、ハンドケア製品、および壮大な香りの世界一周旅行をテーマにしたパフュームキャンドルのファーストコレクションを発表しました。その後も、ナタリー・フェイショールやアレクサンドラ・モネ、クリストフ・レイノー(煌めく『スプラッシュ』の作家)を始めとする才能豊かな調香師の協力により、パフュームキャンドルとオーデコロンのコレクションは歳月を重ねるごとに広がり続けました。

2015年、古くから取引関係にあったS.A.I.G印刷工房を買い取ります。印刷所を指揮するユアン氏は、現在も活版印刷を続 ける最後の巨匠の一人であり、その腕にかけては右に出る者はいません。パリ郊外のライ・レ・ローズに位置し、大型の活版印刷機や伝説の「自動活字組み機」であるライノタイプを何台も装備した印刷所は、活版で本を印刷出来る世界で最後の工房のひとつでもあります。この買収を機に、ブノワとイヴァンは出版社を立ち上げ、最初の書籍となる『私のパリ生活(Ma Vie à Paris)』を発表しました。飛ぶように売れたこの異色のパリガイドに次ぐ2冊目は、ルー・ドワイヨンのデッサン集。そして3冊目 は、バルテュスが少年時代に描いた絵本です。

長年にわたり、メゾンの友人でもある数多くのアーティストが、ブノワとイヴァンと共に陶器や文具、本を創作しています。ニューヨーク在住のデコパージュ界の王者、ジョン・デリアンもその一人です。ロシニエールの素晴らしいグラン・シャレに住む高名な日本人アーティスト、節子・クロソフスカ・ド・ローラ。才能豊かなセレナ・キャロンヌ。その他にも、ダナ・ワイズ、ナタリー・レテ、オレリー・マティゴ、ジョゼ・レヴィ、パッチ、ツェ&ツェ…。

それはアスティエ・ド・ヴィラットにとって、単なるコラボレーションに留まることなく、個性溢れる独特な世界の創造へと繋がる友情と美的親和性の物語なのです。

2018年以降アスティエ・ド・ヴィラットは、アメリカの友人で照明デザイナーのメリー・シンダーの協力を得て、照明器具の製造 を開始します。マセナ大通りの工房には、『パンピーユ・シャンデリア』の製造と電化作業用のスペースが新設されました。

今日では、チベット人を中心とする約50名の工員が、アスティエ・ド・ヴィラットの陶器と照明器具の製造を担当しています。印刷所には2名、そしてパリの2店舗とオフィスには合計約15名の従業員が勤務しています。

膨大な数の進行中プロジェクト、そして本の出版とフレグランスや陶器の創作など、アスティエ・ド・ヴィラットが手掛けるあらゆる分野のうちでも特に、この数ヶ月間全活力を投じているのが、パリ以外では初となる新しいブティック開設の計画です。ソウルの旧市街地の中心に位置するこぢんまりとした美しい建物の中に、2021年の最初の数ヶ月以内にオープン予定です。